【お知らせ】新規事業立ち上げフレームワーク”THRUSTER”(スラスター)を Ver3にアップデート

グロースハックスタジオ広岡です。

この度、当社が開発している新規事業立ち上げフレームワークTHRUSTER(スラスター)のVer3をリリースいたしました。

今回はこれまでのバージョンアップの背景などを説明しながら、Ver3のポイントについて触れてみたいと思います。

THRUSTER Ver3をダウンロード

THRUSTERの開発を始めた背景

元々THRUSTERは「デジタル化が進みデータが増えてくると仮説の構築の難易度が下がる」という考えにいたったのが開発のきっかけです。

何らかのKPIに対して優位なセグメントをデータからみつけて仮説化するというのは、Facebookのマジックナンバーなどでその存在はみとめられていましたし、実際にデジタル広告運用はデータから仮説を考え、そしてまたデータで確かめるということを繰り返しながら仮説の確度をあげていく活動を一定のプロセスで運用していました。創業当時、当社もデータからKPIに対して優位なセグメントを発見できるツールのMVPを開発し、ご協力頂ける会社様からデータを預かって運用してみてました。

その結果、デジタル化が進むことで既存事業の生産性はどんどん上がるということは不可逆、ただしそれに伴い1社による寡占化やプロダクトライフサイクルの短命化はますます進むと考えられるという結論に至り、”データではまだ言えない可能性のある仮説”を見つけ、仮説の確度を上げていけるケーパビリティがこれからの時代にとって重要になるのではないか?という観点にたどりついたというのが発端です。

時代的にもリーンスタートアップが出版されたり、スタートアップエコシステムからの成功の再現性も出始めたりと、いわゆる新規事業という形でこの観点へのアプローチが開始されていたことがこの問題が顕在化してる事象だったように思います。

それから4年たった2020年の現在、この論点は更に進化して企業のゴーイング・コンサーン(継続企業の前提)には、知の進化と知の探索の両利きの経営が必要という形にまで膨らみ顕在化されています。

両利き経営の為の新規事業エコシステ構築について

THRUSTER Ver2までの話

新規事業開発は「できる人にはできる」世界です。ただ実際に成功した方に成功理由を確認してもこれといった因果関係ですべてを説明できる人がいないというのもまた事実です。

2017年にTHRUSTERの初版の公開をしてから何度かバージョンアップを行い内容を少しづつ変えてきていますが、基本的に一貫している考えは以下の通りです。

  • 最初に思いついた事業モデルの仮説は、検証できていない以上その確度は低い
  • 既存データから仮説を抽出できない新規事業の場合、本人の経験や知識からしか仮説は生み出せない
  • プロダクトやソリューションアイデアは仮説ではなく、そのプロダクトやソリューションが上手くいく背景があって初めて仮説である
  • 良い仮説からは良い学びや気づきを得られ、良い学びや気づきは仮説の解像度をあげる切り口となる
  • 投資リスクは仮説の確度に合わせて判断され、一定時間停滞すると投資は続くなかなくなる

これらを前提に「投資リスクに見合った事業モデルの生み出しかたとは?」というテーマでTHRUSTERの開発に挑戦してきました。

ここで具体的にどういう背景をもってバージョンを上げてきたかを振り返ってみます。

THRUSTER Ver1

元々THRUSTERはソリューションやプロダクトアイデアをいきなりプロダクト・アウトしサービスを運用しながら改善するということは、何の課題を何の価値で解くのか?そしてなぜ儲かるか?という仮説の中身が存在せず検証活動をしていることになり、成果が出せなかった事例からの学びが薄く次に繋がらないので、まずは「顧客の課題や提供価値などに分解して順番に検証できるように設計したものがVer1になります。またこのタイミングでTHRUSTERの権利をクリエイティブ・コモンズ(CC BY-NC-SA 4.0)のライセンスに切り替え、誰でも自由に利用しやすくいたしました。

THRUSTER Ver2

新規事業開発のシード期は「誰のどんな問題を、どう解決して、どう儲けるか?」を有機的につないだ事業仮説全体の確度を高めて「投資リスクに見合う事業モデルを発見することです。

この事実に対してVer1では以下の問題が発生しました。

  • 局所部分の探索を目標にすると事業仮説全体へのフィードバックが行われず、結果的に有機性の観点が消えゲート突破基準すら満たせない
  • 初めから投資リスクに見合った事業仮説なんて存在しない(スタートアップがPMFするのに1000日から3000日かかる)にも関わらず、初期に設計した事業仮説が成立することを前提とした動きに集約されていく。

そこでVer2ではダブルループ学習の要素を取り入れ、投資側がステージゲートで意思決定する粒度と、現場が事業モデルを探索する粒度に分け、1回の検証から得られた学びや気付きを抽象と具体の両方への振り返りに利用しの創造力を発揮できるように設計しました。またモデル化されていないステージなため、システムやプロセスだけ設計しても物事が前に進まないので、投資側も含めた関係者のマインドセットがフィクスドマインドセットからグロースマインドセットになる観点など、いわゆるソフトのS要素への意識も強く開始しました。

THRUSTER Ver3のポイント

今回のVer3は新規事業開発のシード期は、課題解決とマネタイズの再現性ある法則を見つけるステージである、すなわちシード期は因果で何も語れない非秩序状態であるとの前提から「ベストプラクティスよりは、活動の観点になるフレームワーク」を目指し再構築しました。

論点もWhy this、Why now、Why youの3点を考えていけば事業仮説やその背景があわせて整理できるというもの。Howから入って(思いついたソリューションやプロダクトをいきなり開発する)既存事業と同じKPIでのマネジメントを行うとすぐに袋小路にハマる傾向へのアプローチであることは変わりません。単純に本来シード期の目的である「Whyの発見と整理」を利用しながら事業仮説全体の整理ができることを意識し「投資リスクに見合う事業モデルの発見」に近寄れるよう設計してあります。

実際この3つのWhyはサンクコストが一定量溜まった後では修正しづらく「事業仮説に対する創造性の制約」となります。この3つのWhyに”振り返り”が入るような運営が求められます。

THRUSTER Ver3をダウンロード

最後に

新規事業のシード期は事業オーナー本人の「わかってない事がわかっている事に変化する速度」に依存して進捗速度が変わります。すなわち事業オーナー本人が「自分が何がわかっていないか?」を理解出来ないかぎり事業はあまり進捗しません。そのためには事業オーナーに関わるステークホルダーから提供される示唆がとても重要な要素の1つになります。何気ない一言がプラスの気づきにもなるし、場合によってはマイナスの制約にも成り得る世界です。

事業オーナーは自責の精神で自分の知見や能力を上げる事に集中する必要があります。また周りの関係者は評論するのではなく、一緒になって事業の可能性を広げる活動に参加する必要があることをぜひ忘れないでください。

“自分たちの未来を自分たちで作れるようになる”為に、THRUSTERが何かの役に立てば幸いです。

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ワークショップのお知らせ

2020年9月24日(木)13:00から「THRUSTER Study – 初めてのピッチデック!投資が受けやすい事業モデル構築のワークショップ」というオンラインワークショップを開催します。

以下のようなご状況の方におすすめのワークショップとなっていおりますので、ご興味ある方はぜひご参加ください。

  • 社内公募制度に応募を検討されている方
  • シードの投資を受けようとしてるスタートアップの方
  • 現在事業開発を行っているが、事業アイデアをモデル化しきれている自信のない方

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