上場企業を複数輩出。Gaiaxのスタートアップスタジオに学ぶ新規事業創出エコシステム

2020年8月21日

グロースハックスタジオ広岡です。

みなさん永田町にあるGRiDというイベントスペースをご存知でしょうか?かなりの数のイベントを行なっているので一度くらい行ったことがある方も多いかもしれません。

そんなNagatacho GRiDを運営されているのが、新規事業創出に力をいれているいる代表格でもあるガイアックスさん。

数年前から、ガイアックスさんはスタートアップスタジオという仕組みを運用しており、大企業内で新規事業を生み出すことについては最先端を走られています。今回はその運用や仕組みから新規事業創出エコシステムへのヒントが隠されているだろうということでガイアックスのスタートアップスタジオのトップとしてマネジメントされている佐々木さんにお話をきいてきました。

なかなか示唆深い内容になったと思います。

両利きの経営を成立させる新規事業エコシステムの解説動画はこちらから

イントロ

GHS広岡:ご無沙汰しています。この度は、快く引き受けて頂いてありがとうございます!本日は宜しくお願いいたしいます。

GX佐々木:宜しくお願いいたします!

株式会社ガイアックス 技術本部長 スタートアップスタジオ責任者 佐々木喜徳氏


GHS広岡:さて、本日は貴社のスタートアップスタジオという仕組みについて色々お話を聞かせて頂きたいのですが、真面目な話、佐々木さんのことは昔から存じていますし貴社がスタートアップスタジオという仕組みを運用されているということはもちろん認識しています。そして今回貴社のサイトを隅々まで拝見させて頂いたんですが、具体的に一旦どんな仕組みなのか、全くイメージできず(笑)

GX佐々木:そうですよね、よく言われます(笑)

GHS広岡:貴社のサイトのトップメージには「ガイアックスは、人と人をつなげるため、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミーに注力し、社会課題の解決を目指すスタートアップスタジオです。」とあるんですが、スタートアップスタジオは1事業なのか、そもそも会社自体を指しているのか?など、このあたりからもうちょっとよくわからなくなってます。

GX佐々木:実は自分たちでもあんまりよくわかっていなので、今日は自分も整理できればと思いっています(笑)

GHS広岡:ぶっちゃけどこから聞いていけばいいかよくわからないので、聞きたい所から聞いていって整理してもいいですか?

GX佐々木:もちろん、全然大丈夫です。

ガイアックスの沿革

GHS広岡:ガイアックスさんって、まず事業はBtoBのマーケティングと事業と、投資事業をやっているということでいいですか?事業自体はどういうふうに解釈したらいいですかね?

GX佐々木:はい、全部説明すると長くなっちゃうのでかいつまんで会社の話をすると、そもそもガイアックスがどういう組織かというと、僕たちって人と人をつなげるというミッションで経営しているんですよね。

GHS広岡:はいはい

GX佐々木:これ、何かっていうと、世の中にありとあらゆる社会問題とか課題とかってあるじゃないですか。それを人と人をつなげる事業によって解決しようというのが方針なんですね。なので、結構近いところでいうと、ボーダレスジャパンさんが近い会社さんかなって思います。

GHS広岡:なるほど

GX佐々木:もともとの話をすると、ガイアックスを設立して初期にやったサービスというのが、ブログの前身となる簡単ホームページサービスというものでした。GaiaX簡単ホームページと言われていたんですけど。類似のサービスでは、ジオシティーズがありました。もともとは、最初に取り組んだグリーティングカードが普及し、次の展開として簡単ホームページの提供という流れ。

広告収益モデルで、C向けのサービスとして始めたものの、インターネットバブルがはじけた影響を受け、インターネットプロバイダーやポータルサイト向けに、この簡単ホームページサービスを提供していました。BtoCtoCというモデルです。

GHS広岡:インターネット回線を契約したときにプロバイダーが提供してくれる付随サービスや、各種ポータルサイトにあった個人向けのホームページサービスですね。C向けに提供したい会社にブログの前身システムを提供していたわけですね。

GX佐々木:ちなみに、そのとき、簡単ホームページに実装されていたのが足跡機能。その後、mixiにあしあと機能がついたことで、あしあと機能は、多くの人に知られるものになりましたよね。

(補足:足跡機能とは、他人が自分のホームページを閲覧した場合に、その閲覧履歴(=足跡)が残り、閲覧されたホームページの運営者が、その履歴を確認できる機能)

GHS広岡:あー、ありましたね。

GX佐々木:あの辺のビジネスを作っていたんですよね。なのでもともとインターネットを通じて、人の考えとか、何か思いを伝えるとか、コミュニティを作るとか、そういう部分をB向けに提供していたというのがガイアックスの始まりです。

GHS広岡:元々B向け主体だったんですね。

GX佐々木:しかもプロダクトドリブンというよりもソリューションドリブンに作った事業がほとんどを占めていましたね。クライアント企業がこういうことをやりたいと言ってるとか、今この製品、サービスを使ってユーザーにこんなコミュニティサイトを作りたいとか、そういったクライアント企業が時代時代で欲している機能を満たせるようなソリューションで自社を成長させていきました。

GHS広岡:ふむふむ

GX佐々木:で、その流れでずっとやってきたんですけど、上場したあと(2005年7月にセントレックスに上場)に、よりランニングビジネスにスイッチしようって経営方針が変わって、そのあとに、当時MySpaceとかFacebookとかSNSがたくさんあったじゃないですか。その流れで一番最初に取り組んだのが、企業向けSNS。

GHS広岡:自分も前職の時、社内SNS導入していました。

GX佐々木:そこからどんどんランニングビジネス、要はプロダクトベースのランニングビジネスをたくさん作っていくようになりました。

GHS広岡:なるほど、上場を機に業態が変えていったんですね。

GX佐々木:よりランニングビジネスやっていこうといろんな事業が生まれる中で、ソーシャルメディアマーケティングという、ソーシャルメディアのソリューション支援とかも、いろんな事業がぽこぽこ生まれては消えて、みたいな業態の一つで残っているものが、ソーシャルサービス事業っていう感じですね。

ガイアックス社のソーシャルサービス事業

GX佐々木:で、最近だと、2015年からソーシャルメディア以上に、シェアリングエコノミーだよねという話で、先駆けてシェアリングエコノミーだと国内で言い出し、2016年1月に協会を立ち上げ(シェアリングエコノミー協会)どんどん日本に広げていくぞというのをやっていって、そのシェアリングエコノミーサービス事業というのを自社でもやっているし、投資もしているという感じになっているというのが沿革から見た事業の変遷と足元の現状です。

GHS広岡:なるほど。どの企業も時代に合わせて事業のポートフォリオを動かせるようにできるのは理想ではありますが、実際に自分たちで意識的に変えていくというのは、実際はかなり難しい所だと思います。

ガイアックスで新規事業生まれていく流れ

GX佐々木:そこに関しては、ガイアックスの社風が効いてるかもしれません。中にいる人材が色々ビジネスを作って、このビジネスで「社長をやって、起業したい」とか、その生まれた事業を「もっとオーナーシップ(主体性)をもって取り組んでもらうためには、もう本人に社長やってもらったほうがいいんじゃない?」みたいな、そういう議論が普通に起こる会社なんですよね。

いろんな事業をぽこぽこ生みだして、実際に株を本人に持たせてスピンアウトさせて、事業を伸ばしていって、それがIPOするみたいな流れが2012年くらいから出始め、2015年にはAppBank社がIPOしました。2017年、スタートアップスタジオっていう黄色い本が出て(STARTUP STUDIO 連続してイノベーションを生む「ハリウッド型」プロ集団 )読んだときに、「自社の中のリソースとかエコシステムの中で事業を作っていって、それを起業させて、グロースさせていく、これうちのことじゃん!」みたいな(笑)

それでスタートアップスタジオって名乗りだしたんですよ。そういう歴史があるんですよね。

GHS広岡:あっ、待って!ここですね。広岡が気になってるの。

 今、サラッと「いろんな事業をぽこぽこ生んだ」って仰ったじゃないですか。どうやるとそのポコポコっと事業生まれるのかを聞きたいんです。誰がアイデアを考えて、どうやって事業成長をさせてるのかとか。普通の会社のケースでよくありがちなのって、成長させられるスキルセットがある人がいないとか、アイデアがそんなに出てこないみたいなのでつまづいているケースがほとんどです。

もう一方の話で、経営側、特にIPOしちゃうと資本効率をすごい求められるじゃないですか。で、この資本効率を求められる中で、ROIの視点で投資的なコンテキストがある中で一定の管理をしようとすると、新規事業と再現しやすい売り上げの部分とをどうやって切り分けるとうまく運用できるか?といった議論がよく出るわけですよ。

で、ガイアックスさんも上場会社なので色々な制約があるわけですが、その中で一体全体どうやってポコポコと事業を作っていったのかが凄い気になっています。

GX佐々木::どうやって生まれてたんですかっていうと、、、、完全にボトムアップなんですよ。

GHS広岡:ほう、誰かがやりたいって言い出してくる?

GX佐々木:そうです。経営サイドから「誰かやりたい人いないかな?そういうチーム作ってよ」という話じゃなく、例えば「やっぱり今の時代、例えばネットでのいじめと炎上とか、そういうのってなんとかしなきゃいけないと思っているんですよ」って現場が言いだし、ネットいじめ対策事業のスクールガーディアン(現在はガイアックスからカーブアウトし、2020年3月に上場したアディッシュ株式会社の事業)という事業が立ち上がるとか。

GHS広岡:それって急に言い出すんですか?

GX佐々木:急に言い出すんですよね。少なくとも経営側から見ると急に言い出したように見えます。あと例えば「会社辞めて、こういう仕事したいんです」とか、「こういうビジネスのところに転職したい」って誰かが言いだしたら、「だったらうちでやれば?」みたいな会話が普通によくされます。

GHS広岡:言ってることはわかりますよ。でもわからない箇所がいくかあります(笑) 例えば、その人で何か既存の事業なりでリソースとられているわけですよね?何かのタスクに絡んでいる人なわけですよね?

GA佐々木:そうです。

GHS広岡:そうですよね。ちょっと待ってください、ここらへんで疑問がありまして、まずやり出したいと言った人に対して、どうやって投資を決めていたのでしょうか?

GA佐々木:究極言えば、特にルールなかったと思います。

GHS広岡:まさか社長の勘?(笑)

GA佐々木:どっちかっていうと、許可制じゃないんです。勝手にやっている。

GHS広岡:勝手にやるんのはわかるんですけど、いくら内部だろうがなんかしらの費用は出ちゃうじゃないですか?極論自分の給料どこから出すのよって話もあるし。一派論で言えば、金額はともかく何らかの予算をそのプロジェクトにつけるって話になるわけですが、それってどこで決まるんですか?取締役会とかで都度決めていた?それとももう誰かが、いいんじゃね?みたいな感じで始まるんですか?

GA佐々木:そのとき自分は経営層に入っていなかったので、詳細までは説明できないんですが、基本的にどのプロジェクトも本人がアンダー・ザ・テーブルで始めちゃうわけで、別にこそこそしてるわけじゃないけど、今の仕事をちゃんとやって、かつ空いた時間でやり始めたりしていますね。最初のアイディエーションとか、カスタマープロブレムフィットとかをやり始めているんですよ、今で言うと。

GHS広岡:とりあえずインタビューしたり、仮説あるなら売ってみるとか。

GX佐々木:そうです。で、実際に案件がとれ始めたとか、売り上げ規模が一定になってきたときに、それ一つの事業にしようかっていう判断がされるんですよ。

GHS広岡:なるほど、そこまでトラクション出てくると、事業化の意思決定はしやすいですね。

GX佐々木:逆にそこまで行かないものは本人ができる範囲の中で、知恵を絞って好き勝手やっているという感じですね。

GHS広岡:なるほどね。やるもやらないも本人たち次第だと。

GX佐々木:そうです。

スタートアップスタジオとは?

GHS広岡:なるほどですね。ここまでは理解できてきました。

次によく分かってない事として、スタートアップスタジオそのものがあります。普通の事業会社の発想だと株主総会で予算や中期などで売上利益目標を宣言するわけじゃないですか、なので作った事業は連結に入れていくという概念で運用されるもんだと思うんです。つまり事業が成長している間はよほど事件でも起きない限り連結に入れておこうという話だと思うんですけど、貴社のサイトでスタートアップスタジオの説明を見る限り、連結感が全然出てこないんですよ(笑)

GX佐々木:はい、ないです。

GHS広岡:これ、どう解釈したらいいですか?

GX佐々木:普通ガイアックスという会社自体を大きくすることが企業の目的の一つになっていることが多いじゃないですか。

GHS広岡:少なくともIPOしてるとか、そういうことですよね。

GX佐々木:そうですね。実はそこ(財務面)はあまり目的として追っていなくて。どっちかっていうとガイアックスの概念として、エコシステムを作っているので、投資した事業の時価総額も上がったら、ガイアックスの会社としての評価の一部って考えている感じですね、勝手に自分たちで。

(IR担当より補足:「連結か否か」という財務上のルールにとらわれず、外部資本を積極的に活用する手法を採用しています。また、バランスシートの資産についても、ガイアックスはかなりシビアに減損しています。見た目の良さを追い求めるでなく、その時のベターな手法を用い、ありのままを見せたい思いが強いです。)

GHS広岡:自分たちで、会社の時価総額の新しい考え方、評価基準みたいなのを作りにいっているとうことですか?

GX佐々木:自分たちが勝手にそう思っているだけ、外からの評価はそうなってはないんですけど(笑)

GHS広岡:自分たちはそう解釈をしているからそういう哲学だよねと。その自分たちの哲学で意思決定ができていると。

GX佐々木:そうです。

GHS広岡:やっと少しつかめてきました(笑)

GX佐々木:そうなんですよ。最近上場したアディッシュなんかはもともとガイアックスのメイン事業の一つだったんですよね。その事業を連結外しちゃったから、ガイアックスの売上はめちゃくちゃ減少しました。

ガイアックス社 IRより

GHS広岡:ちょうど当時からアディッシュの中の人から連結外れたって教えてもらったのも覚えています。ぶっちゃけ「何言ってるんだろう?」って心の中で思ってました。収益の大きな部分を担っていてまだ成長しそうな事業を連結から外すっていう意思決定は一体何の軸でされているのかが全くよくわからなかったんです。

GX佐々木:普通そうですよね。でも子会社に分離して、更にグロースさせて、上場してもらったほうが結果的にガイアックス全体のエコシステムとして正解だよね、という判断をしてるんですね。

GHS広岡:ここなんですよね。その判断軸がどこにあるのかって考えた時に、哲学だけでできるのかと?

GX佐々木:まぁ究極言えば、キャピタルゲインなんですよね。

GHS広岡:あっ、そういうこと?キャピタルゲインという選択肢か。

GX佐々木:結果的にガイアックスは新しい事業に投資していきたいわけですよね。なので、その選択肢として一定水準以上利益を上げるメイン事業をいくつも抱えてその利益の中で投資していくという考え方もあるし、場合によっては事業を独立させてグロースさせてIPOしてキャピタルゲインでそれを元手でさらに投資していくというのを使い分けている感じです。

GHS広岡:なるほど、PL経営というよりもキャッシュフロー経営を重要視している感じ?

GX佐々木:そうですね、かなりそうですね。

GHS広岡:なんかかなりしっくりき始めました。そもそも会社としてのキャッシュフローを営業キャッシュフローともに投資キャッシュフローも使って最適化していき、常に新規に投資し続けられるようにしていくという感じですね。ここだけ切り取ると、ソフトバンクさんとか、ユナイテッドさんとかに似てるのかなと思えてききました。

スタートアップスタジオの仕組み

GHS広岡:なんとなく全体の骨格は見え始めてきました。が、次の疑問がふつふつと(笑)

GX佐々木:なんなりとどうぞ(笑)

GHS広岡:ガイアックスのサイトを見ると社外のベンチャーにも投資しているし、社内で生み出した事業にも投資するみたいな仕組みのように見えるんですが、このあたりがよくわからいないです。

GX佐々木:なるほど。社外のベンチャーへの投資はわかりやすいからいいですよね?で、社内の投資ということで言うと、今のガイアックスが作りたい世界観って、毎年1個でも毎年2個でもIPOする事業を発生させる再現性を作っていきたいという。

GHS広岡:GHSが最近よく言っている社内新規事業エコシステムとリンクする部分が多く、すごく言っていることはわかります。

GX佐々木:で、その再現性を作り出すためには新しい事業をどんどん生み出したり、社内の中で投資しなきゃいけない枠組みが必要だと考えていて。そこを見ているのが僕が管轄してるスタートアップスタジオ事業部です。投資に関してはキャピタルゲインから割り戻して使う金額を決めてる感じなので、VCさんっぽい感じだと思います。

GHS広岡:投資側のほうはわかりますが、プロジェクト側がまだ見えてません。投資するプロジェクトをどうやって立ち上げてるんですか?さっき話にでた既存の事業部にいる人がアンダー・ザ・テーブルで進めた事業に対して、お前こっち側来て専業でやれよ、みたいな感じで投資しているんですか?

GX佐々木:そこは、もういまや誰でもいいんですよね。

GHS広岡:もうちょっと(説明を)行きましょうか(笑)

GX佐々木:まさに今説明のあったアンダー・ザ・テーブルから生まれた事業をやりたいって言ってもらってスタジオの中で支援して、成長したら会社にしてグロースさせていくという進め方もありますし、まだ起業していないけどこういうビジネスをやりたいんだっていう人を見つけてきて、それをインターンで入れたりしてプロジェクト化していくというのもあり。

GHS広岡:なるほど、外からアイデアと人を入れるパターンですね。

GX佐々木:そう。そもそもスタートアップスタジオのメンバーはファウンダーを探す仕事もしているし、ファウンダーを支援する仕事もしているんですけど、自分たちでも事業検証するっていう仕事も持っていて、それでやらないと結局支援できないんですよね、経験がないと。

GHS広岡:わかります、凄いわかります。ちなみにアイデアがある学生さんが「僕のアイデア聞いてください」って来ることもあるのですか?

GX佐々木:めっちゃありますね。

GHS広岡:なるほど。そういう相談の窓口があって、そこに相談に来た方が起業しているならばVC投資の感覚でスタートアップへの投資の話になるし、仮に起業していなかった場合は対話の中でガイアックスの中でまず事業を作っていって「行けそうだったら切り出そうか?」みたいな話もあれば、いきなり切り出しちゃえ、みたいな話もあるってことなんですか?

GX佐々木:まずはめちゃくちゃ検証させるんですよ。インタビューをめちゃくちゃやらせるし、MVP作らせて、トラクション発生するかもめちゃくちゃやらせて、実際にトラクションが発生してきて伸びるなというのがちらほら見え隠れしたときに、起業というのをやる方針ではありますね、今は。

GHS広岡:ということは、そこまでの間というのは、これは社員なんですか?業務委託みたいな関係なんですか?どういう関係性なんですか?

GX佐々木:ルールは特にないですね。例えば、全然別の会社で働いてて、副業とかの契約も存在していないけど、ずっと毎週とか毎月とか相談会開いて伴走してるプロジェクトもありますし、実際に社員がそれをやっているのもありますし、インターン生が毎月アルバイトしなくてもいいように一定の報酬を払ってあげて、その中で検証活動に専念してもらうケースもあります。

GHS広岡:なるほど進め方もかなりフレキシブルに設計しているんですね。目的が事業立ち上げで合意できるからなせる技っぽい感じがします。

GX佐々木:そうですね。

GHS広岡:なるほど。具体的に言うとサイトにある「主なスタジオの出資先」にある会社さんは内部で始まっていって、切り出していった感じなんですか?

GX佐々木:シェアグリとメンヘラテクノロジーの2つは外部からアイデアを持ち込んで頂いた学生さんでした。まだ法人格としては起業されていなくアイデアだけあって話聞いてくれって状態。

テックピットとオークリーは、もともとガイアックスの社員として入社した方が、この事業やりたいと考え、仮説立てて検証していって、これ行けるねとなって投資して起業させたというパターンです。

GHS広岡:ふむふむ。次に知りたいのは条件面ですね。どういう条件で進めていくと上手く回るもんなんでしょうか?スタートアップの資本政策よりは少し複雑になる印象があります。

GX佐々木:一応ガイドラインがあります。当然交渉事なので前後はするにせよ、まず最初登記してすぐにガイアックスが200万円投資しファウンダー70%、ガイアックスが30%程度になるように増資します。ガイアックスとしてはシード完了くらいまではずっと投資し続ける前提で考えています。だいたいプロブレムソリューションフィット検証時に500万円、更にプロダクトマーケットフィット検証で1,000万円投資をして、最大1,700円まで投資していきます。実際にテックピット、シェアグリ、オクリーとかはそこまで入れてますね。その結果、最大でガイアックスが46%程度持つシリーズAステージの会社になります。ただ2回目以降の増資については必ずガイアックスから調達しないといけないわけじゃなく、自分で調達するんで、って言って、もっと高いバリエーションで他のVCから調達しに行ってもいいですよ、っていう枠組み。

GHS広岡:なるほど。そこに縛りは特にあるわけではないと。

GX佐々木:ないです。そもそも資本比率的にコントロールできないので、ガイアックスとしては。「あ、そうですか」としか言えない(笑)ちなみにスタートアップスタジオの投資先の管理本部系の作業はすべてガイアックスの管理本部が一手に引き受けるのでぶっちゃけ登記作業すらしないで事業に集中できるという。

GHS広岡:ガイアックスさんって普通に考えても管理するのが大変な企業カルチャーなのに、その上投資先までですか。。。自分も管理本部をマネジメントしてた経験あるんですが想像するだけで大変そうだなと。

GX佐々木:さすがお気づきですね。ガイアックスの管理本部の方々はものすごく優秀な方が集まってます。

スタートアップスタジオの実績

GHS広岡:最後なんですが、サイトの一番下にある「これまでの投資先」ってのは、これは全部外部へのベンチャー投資なんですか?

GX佐々木:混ざってますね。ガイアックス出身メンバー、もともとガイアックスでインターンやっていたとか社員だったとかで作られた、で、スピンアウトとかで自分でこの事業をやるわって言って出ていったのはいくつかあって、ピクスタ、オタクモード、フォトシンス、ニコリー、アップバンク、あと、ぎりぎりお寺シェアウィングもそうなんですけど、あと才流とか。

GHS広岡:混ざってる(笑)ちょっとDeNAさんのデライトベンチャーズの仕組みにも似てるようにみえてきました。

ちなみにスタートアップスタジオで何らかの仮説をゴリゴリ推し進めて、上手くいかないねとなったら、どうするんですか?他のプロジェクトを手伝うみたいな流れになるんですか?

GS佐々木:なります。色々なパターンがあるのですが、ケースによっては退社せずガイアックスの社員のままのステータスで進めることもあります。

GHS広岡:優しすぎませんか?(笑)

GS佐々木:それで本人が真摯に事業に向き合えるなら良いんじゃないかと思ってます。

GHS広岡:なるほど、他にも聞きたいことが沢山あるのですが、今回はこのあたりで終わりにしたいと思います。色々と教えていただきありがとうございました!

GS佐々木:ありがとうございました!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

正直IPOしている企業でここまでミッションドリブンに経営するのは奇跡的な話のように思える部分もあります。しかし新規事業創出に対するエッセンスとして、仕組み化だけでなく経営から現場までが一体となったマインドセットや企業カルチャーが非常に重要な鍵を握っているということは、ご理解頂けるように思います。

よく新規事業創出の課題感として「意思決定の方法がわからない」というご質問をいただくことがあります。お話をお聞きすると仕組み化はカイゼン対象になっているものの、マインドセットや企業カルチャーがカイゼン対象として認識されていることはほとんどありません。

もし新規事業創出が上手く進まない企業様がありましたら、まずは経営も巻き込んだ対話を行なって頂くのも1つの入口かと思います。

もし、上手く対話の入り口が作れないようでしたら、是非当社に一声かけて頂ければと思います。

両利きの経営を成立させる新規事業エコシステムの解説動画はこちらから