[THRUSTER導入事例] 事業開発が出来る人材を生み出したい 〜株式会社アドウェイズ編〜

2017年8月2日

 

こんにちは。グロースハックスタジオ(以下GHS)広岡です。

今回は、THRUSTER(スラスター)を導入し、さらにGHSのビジネス・マネジメント・サービスも合わせて導入頂いている、株式会社アドウェイズの新規領域担当の取締役である”やましょう”こと山田翔さんに、THRUSTER導入の背景などを聞きましたのでご紹介します。

 

結論から言いますと、この記事は「事業開発をできる人材をどう増やしていくか」ということに課題感のあるマネージャーの方に特に目を通していただきたい内容になりました。

 

「なかなか新規事業が生まれない」「なかなか踊り場から抜けられない」といった課題に対して、結局最後は「事業開発人材の質と数」が決め手になりそうです。

 

新規事業の役員をどうしてやることになったのか

 

広岡:本日は宜しくお願いいたします。

 

やましょう:宜しくお願いします!

 

広岡:まず始めにアドウェイズの事業内容から教えてください。

 

やましょう:はい、2001年の設立後アフィリエイト広告事業を軸に成長してきまして、その後AppDriverPartyTrackといったスマートフォン広告事業で更に成長を加速してきました。最近では「予約トップ10(スマホゲームの事前予約サイト)」や「SPOT(旅行メディアサービス)」といった新規事業も生み出しつつ、直近は「UNICORN」というモバイルアプリ向けの全自動マーケティングプラットフォームをリリースし、その成長に力を入れ始めたという感じです

 

広岡:現状の会社の規模ってどの程度になっているんでしたっけ?

 

やましょう:現在売上では400億円超えたところで、社員数だと1100人くらいですね。その内新規事業には40人くらい絡んでいます。

 

広岡:そもそもアドウェイズって昔から新規事業を沢山やっていましたっけ?

 

やましょう:あまり表には出てないですが、2012年くらいに社長号令で「とにかく新規事業を沢山やる」って話になって、各部署から新規事業を多く生み出そうという流れになりました。その時スマホのカジュアルゲームからもっと大きめな事業までだいたい100個くらいの新規事業を立ち上げてみたんですけど、まぁうまくいくわけも無く、大炎上したわけです。

当時は事業開発のノウハウもあんまり無かったんで、上長が現場に対して「いつまでに出来るんだ?」「なぜ出来ないんだ?」とひたすら詰める管理体制になっていて、そもそも進め方すらよくわかっていない状態でした。その当時、僕はちょうど子会社(Bulbit株式会社、以下Bulbit)を立ち上げたばかりだったので、そっちで勝手に色々やろうと思って仕掛けていました。

 

広岡:それでどうなったんですか?

やましょう:Bulbitを1年経営してみて、どう考えても今のアドウェイズの事業開発の進め方って問題あるよね、と理解できたので、アドウェイズの経営陣に「もし自分が役員をやるなら新規事業に関してはこういうやり方で管理する」みたいなドキュメントを作って提出したりしていました。

そうこうしているうちに、経営陣から「そんなに言うなら新規事業の役員やってよ」みたいな話が増えてきて、コミットすることになったという流れですね。

 

ちゃんと撤退基準を作ったらどんどん事業が無くなり、事業開発担当者も減ってしまった

 

広岡:就任してまず何から始めたのですか?

 

やましょう:とりあえず、沢山ある新規事業の中で、自分がタッチしたことがあるものだけを自分の管理下に寄せ、僕が責任もって見る新規事業を決めました。そして自分が管理している事業以外も含めて会社全体に適応する事業開発の運用ルール、撤退ルールを作って、原則どの部署もそれで運用してもらう流れを作りました。

というのも、運用ルールを作らないと、よく分からない新規事業が既存事業部門の中で生き残る、すなわち利益は削っているけど、実態が把握できないという状態になるのを防ぐ必要があったので、まずはルール作りから。

 

広岡:なるほど、実際にそういうルールを運用するところから始めたわけですね。それで運用を開始したらどうなりました?

 

やましょう:ルールを決める前から事業開発をスタートしていた新規事業がどんどん無くなっていった(笑)

 

広岡:それはなぜ?

 

やましょう:撤退ラインに当たっちゃうから。もう少し詳細を説明すると、当時の事業開発方法が今のLean(リーン)な感じではなく、先にチームをドーンと作って、とにかくプロダクトを作り始めるという、いわゆるウォーターフォールなパターンでやっていて。結局PMF(Product Market Fit)の兆しが出る前に、お金使いすぎちゃってどんどん撤退していきました。

 

広岡:なるほど。その状態はまずいって話になったと思いますが、実際どうだったんですか?

 

やましょう:今後の進め方を模索していく中で、今度は事業失敗した人が辞めていくということが結構多発してしまって。本当はその事業プロデューサーにもう1回トライして欲しかったんだけど、その前に辞めていってしまう。これでは新規事業の仕組みを作るとか作らないとかの前に、そもそも事業開発をできるメンバーを増やさないと話にならない、という流れになりました。

あたりまえのことですが、成功するビジネスを狙って作るのは非常に難しいので、回している事業開発の量を増やしていきたいのですが、事業開発できる人材分しか事業の数を増やすことができないという問題が根本にはあって。

 

広岡:実際どうやって事業開発できるスタッフ増やそうとしたんですか?ぶっちゃけある程度再現性高く事業開発サイクルを回せる人がそもそもあまりいない印象なんですけど・・・

 

やましょう:おっしゃる通りで、仮に実際に事業開発のできる人が存在していたとしても、既に何らかの事業開発にトライしている最中ということが多いです。とは言え、手を打たないといけないので、まずは既存部署の責任者のネクストステップとして新規事業プロデューサーというのを画策してみたんです。でも、会社としてさすがにそれは厳しいという結論になってしまい断念。

 

広岡:エース人材を新規事業に回せないって話は、他の企業でもよく耳にするケースですね。それでどうしたんですか?

 

やましょう:当然の流れとして事業開発人材を中途で採用するという流れになり、7名くらい採用しました。30歳前後で事業のディレクターのキャリアを持っていて、次は事業責任者をやってみたいという志向の人たち。

でも結局しっくりこなかったんですよね。

 

事業開発経験者における弱点

 

広岡:しっくりこないというのをもう少し言語化するとどういうことですか?

 

やましょう:単純に言うと、仮説検証するサイクルが遅すぎて話にならなかった。

広岡:遅すぎる?具体的な例を教えてもらえますか?

やましょう:例えば、企画書をものすごく作り込むとか、サービス設計のワイヤーを沢山引いてみるとか、今それやる意味あるんだっけ?ということをすぐにやりたがる。多分、過去の仕事のメインタスクだったことをやっちゃう。少なくともそこは手を動かせるから、仕事している感が出るんだと思うんですよね。ただ、こっちからすると「今そんなことしなくていいから」ということになる。

 

広岡:本質的でない部分にリソース使っちゃうんだな。そこは成果が出づらいのに。

 

やましょう:そうそう、そこは成果が出ないんですよね。本質的に「やらなきゃいけないことをやらない」みたいなことも多々あって。そのあたりの考え方を変えてもらうように色々やってみたんだけど、なかなか今までの経験で染み付いたものを変えるのが難しくて。そんな時に、改めて自分が育成にトライした15,6名を振り返ってみると、若手の頃から一緒にやっているメンバーの方が事業開発を出来る人材になっているという結論に至りました。この考えがまとまるのに1年くらいかかりましたね。

 

THRUSTERとの出会い

 

広岡:最初にTHRUSTER(スラスター)の説明に伺ったのは、このあたりのタイミングでしたっけ?

※THRUSTERとはロケットの軌道修正用小型エンジンの事

 

やましょう:そうですでね。もともと、何らかの外部のガイド(手法とかやり方とか)を使おうとは考えていました。というのも、過去GHSさんに手伝ってもらっていたプロジェクトの責任者から、「今までやましょうさんから伝えてもらってたことは、実はちゃんと分かってなかった」と衝撃の告白をされて、「え!そうなの!?」という経験をしまして。

本人も僕とディスカッションしている時は「理解出来ている」と思っていたらしいんだけど、「GHSさんと話していく中で分かっていくことが多くて、当時やましょうさんが言ってることを本質的には理解出来ていなかった」と言われまして。

そこで初めて表現レベルの差が人によって違うというのが僕も理解できて、思い返せばこの差分が理解出来ていないから失敗したケースが実は結構あったなという振り返りが始まったんですよね。

 

広岡:その話、初めて聞きました(笑)

 

やましょう:実際にキャッチアップ力の高いメンバーは、僕の説明でも充分キャッチアップしてどんどん成長していく。これも事実。でもそれって聞き手の事業開発センスに依存していて、僕が相手の腑に落ちる伝え方を出来ていれば、もっと成長出来たメンバーもいたんじゃないかと。

ではどうするのか?と考え進めてみると、「センスに依存する表現だけでは、キャッチアップ出来る人が少ない」という前提で考えた時に、何か事業開発に対して定量化されたものの上で議論できれば、もう少しプロセスが良くなるのではないかと思い、既にある枠組みを取り入れようというところまでは見えていました。

ただ、基礎知識を詰め込みましょう、的な研修だと、実践にはならないなと思っていた時にTHRUSTERの話聞いて、これを使って実践しながら進められれば、メンバーの研修にも使えるし、実際に事業の状態も言語化されるし、一石二鳥ではないかと思って取り入れました。

 

広岡:なるほど。実際にTHRUSTERとGHS(グロースハックスタジオ)のサポート(ビジネス・マネジメント・サービス)導入してみて、前後で何か変化はありましたか?

 

やましょう:新規事業として1年くらい自分達だけ運用したけど、なかなか事業を進捗させられないチームに導入しました。導入後は事業責任者とのMTGでちゃんと話ができるようになった(笑) 導入前は「すいません」だけで30分の打ち合わせが終わるという・・・。(苦笑)

 

広岡:やましょうが詰めるだけでMTGが終わってたってことですね(笑)

 

やましょう:そうそう、そんな感じです。「なんでやってないの?」とか「これは何?あれは何?」って質問だけでMTG時間が終わり、結局返答も「あとでまとめておきます」ってだけになるという。それってMTGの意味も無いし、本人も事業の状態が全く把握できてないということになっていました。

 

広岡:だいたいそういうケースって聞いている相手は30分やり過ごせば良いって我慢する時間でしかなくなるという。

 

やましょう:そうそう。それが導入してから少し経ってからは「今は何やっている」とか、「こういうふうに進めている」という話が出来るようになって。さらに30分のMTGも1時間に伸ばそうということになりました。やっと自分達の事業課題とか、本質として何が重要なポイントになっているのかといったことが把握できてきたように思います。

 

広岡:なるほど。徐々に事業の状態と成長に関する因子を把握する進め方が染み込んでいってる感じですね。ちなみに事業開発できる人材を育てる上で他にも何か手を打とうと思ってたんですか?

 

やましょう:あまり調べてなかったですね。そもそも事業開発の為の手法が言語化されているものが存在しているということすら知らなかったです。というのも、単なるフレームワークには興味なかったですし、できるだけ脇道にそれないように実践に適応できる手法というのはそもそも存在を認知しづらいと思っているので。

あとは、個人的には一応ざっくりした事業開発ノウハウみたいなものを持っているので、それをもう少し言語化させていこうかな、というのはありました。

 

広岡:GHSではこの言語化にばかり集中して既に2年近く費やしているので、たぶんやましょうが言語化に集中しても実践で使える状態になるには少し時間がかかると思います。

 

やましょう:確かに。どちらかというと、僕は手法の言語化には興味がなく、事業を作る方に興味が強いです。そういう意味では「自分達で本来作るべきはずの事業開発手法の言語化」はTHRUSTERを活用して省略していると言えるかもしれません。

 

事業開発できる人材を増やすために行っている、それ以外の最近の取り組み

 

広岡:事業開発人材を増やす為に、他に何か取り組みをしていますか?

 

やましょう:最近では事業開発に従事するメンバーを新卒で採用して、彼らが新規事業開発に集中して挑戦しています。事業開発経験者が既に持ってしまっているノウハウをリセットさせるのが大変なのに対して、何もバイアスがかからない新卒ならスムーズに成長していくのではないかと考えています。こちらもGHSさんに手伝ってもらっていますが、まだやり始めてまだ2ヶ月ですので、これからが本番ですね。

※アドウェイズ社のスローガン

 

広岡:今回のケースは「そもそも何をやるか」という事業仮説構築からということで、GHSとしても初めての試みになります。THRUSTERは最初の事業仮説と事業計画があることが前提となっているので、一部を利用して事業仮説発見サイクルを回しています。

 

やましょう:数ヶ月後、新しい事業開発プロジェクトがスタートできるだろうと楽しみにしています。

 

広岡:ですね。またこちらも成果が出てきたらインタビューさせてください。本日は大変お忙しいところ、ありがとうございました。

 

まとめ

 

さて、いかがでしたでしょうか。

プロダクトライフサイクルが短くなってきている事業環境の変化からも、仮説検証を繰り返すことで自身の持つバイアスを外しながら事業開発できる人材を増やすということは、企業の競争力向上にとって極めて重要なことかと思います。また人への依存をできるだけ減らしていくというのも、経営マネジメント上においても極めて重要なことだと感じています。

以前、転職サイトに新規事業開発者の求人案件が3,000件近く掲載されているという話を聞いたことがあります。しかし、事業開発ができるというのは、単に経験があるというだけでは、フィットしないということが今回のやましょうのお話からも理解できます。

いわゆるピボットを繰り返して進める”Lean的事業開発”と、立てた事業仮説を前提に進める”ウォーターフォール的事業開発”によってスキルセットが全然違いますので、この辺り気をつけてマネジメントしていきたいところです。

 

勉強会のお知らせ

 

8月下旬に「事業開発チームの育成方法についての勉強会」をクローズドで開催します。今回インタビューにお答えいただいた株式会社アドウェイズの新規領域担当の取締役であるやましょうにも参加頂き、このインタビューでは書ききれなかった細かな部分について、色々とお聞きしていきます。

また、この勉強会のもう1つの目的として「色々な事業開発育成ケースの共有」と考えており、ご参加いただく皆様が現在抱えている悩み(課題)をパネルメンバーにぶつけていただき、それに対して何らかの回答を出すような時間も作りたいと考えております。

 

【日時】:8月30日(水) 19:15 〜 21:30(19:00開場)

【場所】:東京都新宿区西新宿八丁目17番1号 住友不動産新宿グランドタワー38階
株式会社アドウェイズ
https://www.adways.net/company/map_tokyo.html

【参加可能人数】:最大20名

【アジェンダ】

  • パネルディスカッション(30分)
    • 予定登壇者
      • 株式会社アドウェイズ 取締役 新規領域担当 山田翔
      • 株式会社グロースハックスタジオ 代表取締役  広岡
  • 現状の抱えられている悩み(課題)に対する返答会(45分)
  • 懇親会(60分)

【参加資格】

  • 事業開発チームの管掌役
  • 事業開発チームのプロダクトオーナー(マネージャー)

 

詳細決まり次第、別途招待メールを送付させていただきますので、ご興味ある方は以下よりご登録宜しくお願いいたします。

勉強会参加をご希望の方はこちらよりお申込みください!

 

【THRUSTER(スラスター)について】

THRUSTERとは、グロースハックスタジオが考案している仮説検証を繰り返して事業開発をするための手法です。「事業ステージ」「責務」「成果物」「会議体」の4つの校正要素で組み立てられていて、ウォーターフォール的事業開発手法を採用していなければ、対象となる業種業態は問いません。

THRUSTERのダウンロードはこちらから